餅屋記

サブタイトルは『.lib』

カレンダーの下にあるコラム

学校図書館の方で、毎月図書館の開館カレンダーを作っているのですが、その余ったスペースにコラムを書いています。*1

テーマは季節に関係するものか、図書館に関係するものを。*2

以下は既載4ヶ月分です。

 

9月『著作権・肖像権』

 図書館の資料は、著作権法第31条によりある条件の下でコピーが認められていますが、コピーをするのはあくまでも「図書館」です(そもそも学校の図書館はこの範囲外です)。したがって携帯電話のカメラなどで撮影することは、著作権法違反となります。
肖像権には2種類あり、ひとつは「他人の写真で勝手にお金を儲けてはいけない」ということ、もうひとつは「無断で写真を撮られたり、写真を許可なく人の目にさらされて嫌な思いをさせてはならない」ということです。
インターネットは便利ではありますが、使い方に注意しなければなりません。仲間内だけだと思っていても、実際は全世界に筒抜けです。自分の働いている施設に有名人が来たことをネット上で公開し、問題となった事件がありましたが、公開した当人に足りないものは想像力でしょう。法律や規則は守らなければなりませんが、個人個人で「これをしたらどうなるか」考え行動することが大切です。

(396文字)

 

11月『どうして「読書の秋」というの?』

スポーツの秋、芸術の秋、食欲の秋、…秋には掛かる言葉がいくつもありますが、図書館といえは「読書の秋」でしょう。よく聞く言葉ではありますが、その由来を知っていますか?気温や時間などさまざまな理由が思い浮かびますが、実はある唐詩から来ています。
その唐詩とは、中国を代表する文人である韓愈の『符読書城南』の一部「時秋積雨霽、新涼入郊墟。燈火稍可親、簡編可卷舒。」です。涼しく夜長の
秋は、燈火の似合う季節=書物を読むのに適した季節である、というのです。ちなみに俳句では「燈火親しむ」は秋の季語となっています。
もうすぐ冬になってしまいますが、残りわずかな秋の夜長を利用して、本の世界を楽しんでみてはいかがでしょうか。
参考資料
『図説 俳句大歳時記 秋』角川書店,1973,p201「燈火親しむ」
『カラー図説 日本大歳時記 秋』講談社,1981,p105「秋の燈」「燈火親しむ」

(366文字)

 

12月『図書館とITの関係』

 図書館とIT。一見正反対のようにも思えますが、実際は深くつながっています。
まず図書館の中にはパソコンがあります。用途は様々あり、調べものだけでなく、貸出や検索などの蔵書管理にも使われます。大きな図書館では、Suicaにも入っているICタグを本に付与して、持ち出し防止装置や効率的な貸出返却処理に利用しているところもあります。つまり図書館の利用や業務にITが組み込まれているのです。
また最近では図書館でも電子書籍を貸出しています。インターネット上で借りられ、紙の本と同じように返却期限もあります。大学の図書館では電子ジャーナルというデジタルデータの雑誌や、機関リポジトリという論文を集めて公開するシステムもあります。
そして図書館とITに根底で共通しているのが、「情報を扱う」ということです。検索エンジンサイトを運営するGoogle社は「人類が使うすべての情報を集め整理する」という理念のもと設立されました。ユネスコ公共図書館宣言では公共図書館は「地域の情報センターである」としています。21世紀の図書館は、本を借りるだけ、ではないのです。

(454文字)

 

1月『どうして一年は「0月」から始まらないの?』

もういくつ寝るとお正月。今年も暮れ、ということは12月も終わり、また1月がやってきます。
現代では西暦が主流ですが、日本では以前、旧暦と呼ばれる暦が使われていました。1月を「睦月」と呼んでいたと古文の授業などで聞いたことがあるはずです。では他の国の言葉では1月はどう呼ばれるのでしょうか。
一番馴染みがある英語では「January」。これはラテン語で入り口を司る神を示す「Jānus」(ヤーヌス)が語源となっていて、フランス語の「janvier」、スペイン語の「enero」などもこれが語源だと言われています。ちなみにイスラム諸国で用いられているヒジュラ暦では「مُحَرَّم」(ムハッラム)ですが、1年が354日の太陰暦なので1月が冬にあたるとは限りません。
ここでタイトルに戻って考えてみると、西暦0年や0時0分はあるのに、なぜ0月がないのでしょうか。日本に限れば、昭和や平成の始まりが「1年(元年)」であることや、生まれた年を1歳から数える「数え年」の習わしが関係しているのではないでしょうか。では世界では…? 残念ながらここにはすべて書き切れないので、図書館にある本をヒントに考えてみてください。
参考資料
中牧弘允「カレンダーから世界を見る」白水社,2008.7,172p

(498文字)

 

*1:コラムを書き入れ始めたのは9月からで、10月は9月と同じものを載せ、2,3月分は作成中です

*2:レファレンス協同データベース http://crd.ndl.go.jp/jp/public/ にお世話になったり、大石勝男編『高等学校ホームルーム担任実務事典』暁教育出版,1984.6 を参考にしています

関係者になってから図書館についてわかったこと

  • 図書館員は皆同じではない
  • 想像をはるかに超えたいろんな利用者がいる
  • 本にもいろいろはさんで返却してくる
  • ほかの図書館の本や自宅の本など誤返却が多い
  • 繁盛期は土日と夏休みと定期テスト期間と年末年始(正月休みを除く)
  • カーペット敷きの上をブックトラックを転がして配架に行くと静電気がひどい(特に冬)
  • 所蔵資料や閲覧席はきれいではない
  • (特にポケットのある)エプロンは実用的
  • さまざまな規則がありそれに則って図書館員は働いている
  • 休館日は必要
  • 資産としての図書と消耗品としての図書があり扱いが異なる

【記事感想】ドイツ「モノの図書館」

新春いっぱつめ、です。

1月1日付の朝日新聞朝刊より。国際欄に図書館の文字を見つけたので、今回はこの記事について書こうと思います。(一般的な『図書館』ではありません)

 

「モノの図書館」人気 ドイツ (要約)*1

中間層の多いベルリン東部の住宅街に、会員制の物を貸し借りする店があるという。運営メンバーの英語教師は「モノを貸し借りする図書館がつくりたかった。モノは住民の公共財。地域の連帯を強める触媒」と話している。店の賃料である月420ユーロは寄付でまかなわれている。またベルリン自由大学の構内にも同様の店ができる。

周辺の欧州の国に比べて、ドイツは労働市場が柔軟で失業率も低い。しかし脱成長をうたう政治が背景にあり、大量生産・大量消費を見直す試みがすすんでいるという。

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この記事を読んでまず思い出したのが、2012年8月31日のカレントアウェアネスの記事、「ケーキ型、貸します。(記事紹介)」です。アメリカのカンザス州にはケーキの型を貸出している図書館があるそうです。さすが図書館だけあって、型がOPACに登録されていたり、ILLも可能とのこと。

 文末には「シンセサイザーを貸し出す図書館(米国)」(ミシガン州)、「ウクレレを貸し出す図書館(米国)」(マサチューセッツ州)のリンクも張ってあり、既存の図書館がモノを貸し出している情報も得ることができました。*2

 海外だけでなく日本ではどうかと考えると、勤務している公共図書館でもモノを貸出していました。それは、紙芝居の枠(舞台)です。所蔵する館は限られていましたが、きちんとOPACにも登録されています。かさ張るので貸し出しは主に団体向けかなと思っていたら、意外と普通のお母さんにも借りられていたので、需要を感じました。

 

また既存のハコモノ図書館に限らず、コミュニティから図書館をつくる、もしくは空間に本を置き本を介して人のつながりを感じさせるような試みはあります。

個人の本棚を図書館化するサービスリブライズや、学生のアイディアである大学内の空きロッカーを利用した本の共有サービスReBooks、長野県小布施町立図書館のまちじゅう図書館、駅の中にある旅人のための私設図書館*3など、ICTを利用したサービスからそうでないものまで様々です。

 

結論

いくつか事例を挙げてきましたが、はじめの「モノ図書館」も含めて、図書館には貸出のイメージが定着しているようです。

高度情報化社会が発達し、社会や人々の生活、考え方等に転換を求められている現代において、昔に戻るような人と人とのつながりを感じさせるモノというのは、重要視されています。

イタリアでは伝統的に保存のための図書館が主軸として存在しており、読書のためのパブリック・ライブラリーが広がったのはここ数十年のことだそうです。*4この記事は、「図書館は利用するもの」ということの表れだと私は思っています。

貸出は利用者へのサービス提供の初歩であろうので、それを超えたサービスは、それぞれの館の特色にもなるので、工夫してもっともっと発展させるべきだと思います。

*1: 要約はしましたが、記事の大見出しが「脱成長 豊かさ問う欧州」というだけあって、記事自体の主題はむしろ後半部分でした

*2:こういう関連情報(リンク)はとてもありがたいです。

*3:ソースは忘れてしまいました…

*4:CA1783 - イタリアの“パブリック・ライブラリー”の現状と課題 / アントネッラ・アンニョリ http://current.ndl.go.jp/ca1783

新年のご挨拶と今年の目標

あけましておめでとうございます。

2013年、平成25年、癸巳年です。

年末にカレンダーの本を読みコラムを書いたおかげで、暦については興味を持ちました。宗教と大きく関係しているそうで。*1


昨日の大晦日、テレビでさかんに「来年は素晴らしい年にしましょう」と言われているのを見て圧倒されてしまいました。

しかしそれくらい強い意気込みで新しい年を迎えるべきなのかな、とも思いました。年=年神様をお迎えすること、なので。


これが一応の「書き初め」ではありますが、今年は読みと書きの循環をよくしたいと思っています。継続は力なりと思って始めたこのブログですが、この頻度では継続とは言えない気がして…。

文章を書くのがもっとうまくなるためにも、回数を重ねることは必要ですし。

そのためにもノルマを課すべきなので、週1回、3月までは毎週火曜日にこのブログを更新します!(4月以降は土曜日になるかもしれません…)

書く内容については、以前より規定を緩めて範囲を広げようと思います。


読みの方はただ「○冊!」としてしまうと本の内容に偏りが出そうなので、「勉強になると思うものを月3冊以上!」とします。

「勉強になる」かどうかは主観ですが。



さてではこれを0号として、早速今年第1号に取り掛かります。

「今年も素晴らしい年にしましょう!」


*1:テーマは「なぜ一年は『0月』から始まらないのか」です。参考資料は中牧弘光『カレンダーから世界を見る』白水社 2008.7

2012年のふりかえり

もうひとつ寝るとお正月、まで来ました、大晦日です。

大晦日にこたつでぬくぬくしながらその年の日記ならぬ年記を書く、というのにちょっぴり憧れていたのですが、拝読しているブログの方々は仕事納めの翌日くらいにブログ納めもされているようで焦りました。しかしながら大掃除やらごろごろするのに時間を取られ、結局は大晦日に書いております。*1

 

さてまずは今年を月ごとに振り返ってみることにします。冊数はその月に読んだ本と雑誌と漫画の総計です。

 

1月 21冊

神社で巫女さんバイト(正月助勤奉仕)

2月の展覧会の準備(本番は海外逃亡)

 

2月 13冊

6泊8日でフランス・ベルギーの旅へ

ダブルスクール開始

 

3月 8冊

伊豆半島と京都・大阪へ

卒業

とりあえずの職探し

 

4月 7冊

高校図書館と市立図書館で働き始める

 

5月 5冊

陸前高田再訪

一次試験

 

6月 6冊

一次試験

 

7月 10冊

二次試験

 

8月 12冊

越後妻有トリエンナーレ2012

 

9月

一次試験

二次試験

 

10月 23冊

二次試験

八丈島上陸

 

11月 15冊

(この頃、とにかく本を読まねばと思い始める)

第14回図書館総合展

 

12月 12冊

7連勤が3回

(上記の結果)ウイルス性胃腸炎にかかる

 

 

Twilogを見ながら軽く振り返ってみました。

仕事編や就職活動編も書きたいところですが時間という空気を読んで、2012年の考察と2013年の抱負を書いて終わりにしたいと思います。

 

2012年のまとめ

前四半期は学生でしたが授業はほとんどなかったので、バイトか仮の就職活動か公務員試験の勉強をしていたような気がします。卒業してからは、ふたつの図書館で働き始めて、時間を作りながら公務員試験の勉強。

「一次試験はすべて突破する!」という目標を掲げたこともあって、後半は二次試験の経験値が高まりました。同じ大学の後輩に面接会場で遭遇したこともあったり。

そして一番の収穫は来年度からの就職先が決まったことです。めでたい。しかしこれは一発で決まったわけではなく、それまでのコツコツと積み重ねてきた結果だと思います。前年では受からなかった。そして運もあります。次年は採用数が激減するかもしれない。もちろん予備校の資金を援助してくれ、家事なども協力的だった家族のおかげでもあります。

 仕事を始めたことによって、振る舞いや仕事のやり方なども少しずつ学んでいったので、次の職場でも生かしていきたいと思います。ただ、「早く仕事したいなー」と思うのは今だけなのでしょうか?

 

2013年の抱負

とにかく仕事。まずは仕事。そして人脈を広げていくこと。

3月までも、1年間のまとめとその後の運営を考えた提案(もしくは勝手に残してくか)をしなければと考えています。あといろんなとこに行きたいです。図書館めぐりも。海外に行くかどうかは口座ともう少し相談してから決めます。

収入を得たらイラレさんとフォトショさんと仲良くなりたいです。できたらMac OSで。仕事に使うために。

 

来年もよろしくお願いします。

*1:しかも溜まっていた書きさしも片づけて…(前エントリと前々エントリです)

社会教育施設とその根拠法

また遭遇してしまったので、流行をおさえるためにもまとめておきます。*1


【社会教育施設】
社会教育法が定めるものとしては、図書館の他、公民館と博物館が挙げられる。
類縁機関としては文書館(公文書館法)や青少年教育施設、視聴覚ライブラリーなどがある。*2


○図書館について
<根拠法>図書館法

 

以前調べたけれど抜けているのでもう一度。

>>
 第一章 総則(第一条―第九条)
 第二章 公立図書館(第十条―第二十三条)
 第三章 私立図書館(第二十四条―第二十九条)
 附則
<<

「第一章 総則」図書館の定義、奉仕内容、司書について、設置・運営などの項目があり、
「第二章 公立図書館」では、職員、図書館協議会、無料原則、予算補助、
「第三章 私立図書館」では、国や地方との関係、対価徴収可である

ことが述べられている。
その中でも「役割」についてはこれ。

>>
(図書館奉仕)
第三条  図書館は、図書館奉仕のため、土地の事情及び一般公衆の希望に沿い、更に学校教育を援助し、及び家庭教育の向上に資することとなるように留意し、おおむね次に掲げる事項の実施に努めなければならない。

一  郷土資料、地方行政資料、美術品、レコード及びフィルムの収集にも十分留意して、図書、記録、視聴覚教育の資料その他必要な資料(電磁的記録(略)を含む。以下「図書館資料」という。)を収集し、一般公衆の利用に供すること。
二  図書館資料の分類排列を適切にし、及びその目録を整備すること。
三  図書館の職員が図書館資料について十分な知識を持ち、その利用のための相談に応ずるようにすること。
四  他の図書館、国立国会図書館地方公共団体の議会に附置する図書室及び学校に附属する図書館又は図書室と緊密に連絡し、協力し、図書館資料の相互貸借を行うこと。
五  分館、閲覧所、配本所等を設置し、及び自動車文庫、貸出文庫の巡回を行うこと。
六  読書会、研究会、鑑賞会、映写会、資料展示会等を主催し、及びこれらの開催を奨励すること。
七  時事に関する情報及び参考資料を紹介し、及び提供すること。
八  社会教育における学習の機会を利用して行つた学習の成果を活用して行う教育活動その他の活動の機会を提供し、及びその提供を奨励すること。
九  学校、博物館、公民館、研究所等と緊密に連絡し、協力すること。

<<

……意外と細かく定められてた。
これを200字以内にまとめるとしたら…

「図書館はその地域性を鑑み、利用者のニーズや学校教育・家庭教育を支援する立場からサービスを提供する。その内容としてまず、媒体を問わず資料の収集・提供に務めることが挙げられる。このとき円滑に利用できるよう資料を分類し目録を作成したり、職員が相談に応じたりする必要がある。また移動図書館の巡回やイベント企画などもし、他の図書館、博物館や公民館などとも連携し協力すること。」(182文字)

かしら。

 

 

○公民館について
<根拠法>社会教育法

第五章 公民館(第二十条から第四十二条まで)

とくにこのあたりでしょうか。

 

>>

(目的)
第二十条  公民館は、市町村その他一定区域内の住民のために、実際生活に即する教育、学術及び文化に関する各種の事業を行い、もつて住民の教養の向上、健康の増進、情操の純化を図り、生活文化の振興、社会福祉の増進に寄与することを目的とする。
 

 第二十一条 (略)

 

(公民館の事業)
第二十二条  公民館は、第二十条の目的達成のために、おおむね、左の事業を行う。但し、この法律及び他の法令によつて禁じられたものは、この限りでない。
一  定期講座を開設すること。
二  討論会、講習会、講演会、実習会、展示会等を開催すること。
三  図書、記録、模型、資料等を備え、その利用を図ること。
四  体育、レクリエーシヨン等に関する集会を開催すること。
五  各種の団体、機関等の連絡を図ること。
六  その施設を住民の集会その他の公共的利用に供すること。

 

 

<<

 

まとめ

定期講座を開設し、講習会や講演会を開催する。また図書等を備え、その利用を図るだけでなく、体育などに関する集会を開催する。こうした実際生活に即する教育・学術・文化に関する各種の事業を行い、これによって住民の生涯学習に寄与し、教養の向上、健康の増進、情操の純化を図り、生活文化の振興、社会福祉の増進に努める。(154文字)

生涯学習うんぬんは自分で加えました。

 



○博物館について
<根拠法>博物館法

>>
 第一章 総則(第一条―第九条の二)
 第二章 登録(第十条―第十七条)
 第三章 公立博物館(第十八条―第二十六条)
 第四章 私立博物館(第二十七条・第二十八条)
 第五章 雑則(第二十九条)
 附則
<<

その内容は、

「第一章 総則」博物館の定義、事業、学芸員について、
「第二章 登録」博物館はその自治体の教育委員会に登録しなければならない、その手続きについて、
「第三章 公立博物館」博物館協議会、入館料(やむを得ず徴収可)、予算補助(この章は図書館法第二章と同じ構成)、
「第四章 私立博物館」教育委員会、地方や国との関係、
「第五章 雑則」博物館に相当する施設、

であるとしている。
役割にあたるのは、このあたりかと思います。

>>
(定義)
第二条  この法律において「博物館」とは、歴史、芸術、民俗、産業、自然科学等に関する資料を収集し、保管(育成を含む。以下同じ。)し、展示して教育的配慮の下に一般公衆の利用に供し、その教養、調査研究、レクリエーション等に資するために必要な事業を行い、あわせてこれらの資料に関する調査研究をすることを目的とする機関(略)が設置するもので次章の規定による登録を受けたものをいう。
2  (略)
3  (略)

(博物館の事業)
第三条  博物館は、前条第一項に規定する目的を達成するため、おおむね次に掲げる事業を行う。
一  実物、標本、模写、模型、文献、図表、写真、フィルム、レコード等の博物館資料を豊富に収集し、保管し、及び展示すること。
二  分館を設置し、又は博物館資料を当該博物館外で展示すること。
三  一般公衆に対して、博物館資料の利用に関し必要な説明、助言、指導等を行い、又は研究室、実験室、工作室、図書室等を設置してこれを利用させること。
四  博物館資料に関する専門的、技術的な調査研究を行うこと。
五  博物館資料の保管及び展示等に関する技術的研究を行うこと。
六  博物館資料に関する案内書、解説書、目録、図録、年報、調査研究の報告書等を作成し、及び頒布すること。
七  博物館資料に関する講演会、講習会、映写会、研究会等を主催し、及びその開催を援助すること。
八  当該博物館の所在地又はその周辺にある文化財保護法 (昭和二十五年法律第二百十四号)の適用を受ける文化財について、解説書又は目録を作成する等一般公衆の当該文化財の利用の便を図ること。
九  社会教育における学習の機会を利用して行つた学習の成果を活用して行う教育活動その他の活動の機会を提供し、及びその提供を奨励すること。
十  他の博物館、博物館と同一の目的を有する国の施設等と緊密に連絡し、協力し、刊行物及び情報の交換、博物館資料の相互貸借等を行うこと。
十一  学校、図書館、研究所、公民館等の教育、学術又は文化に関する諸施設と協力し、その活動を援助すること。

2  博物館は、その事業を行うに当つては、土地の事情を考慮し、国民の実生活の向上に資し、更に学校教育を援助し得るようにも留意しなければならない。
<<

……長い。
第三条(事業)と第二条の1。
これらをまた200字以内にさらっとまとめると、

「歴史や芸術などに関する資料を収集・保管・展示して、利用者の教養や調査研究、レクリエーションのために必要な事業を行う。またこれらの資料に関する調査研究をする。案内図や目録の作成、近隣の文化財についても整備し、その他の博物館・図書館などとも連携し学習の機会を提供をすること。」(135文字)

短くなってしまった…。

 

以上、図書館、公民館、博物館のそれぞれの根拠法と役割でした。

公文書館についてはまだまだ勉強不足でありわからないこともたくさんあるのですが、収拾がつかなくなってきたのでこのあたりで筆をおこうと思います。

ちなみに遭遇したのは社会教育施設だけでなく地域資料もなので、近いうちに書きたい…けど何書けばいいのかわからない…。

*1:遭遇したのは2012年9月頃なのでおよそ3ヶ月前です…

*2:高山正也編『改訂図書館サービス論』樹村房,2005.3,85-89p「図書館サービスと図書館の類縁機関」

本を10冊おすすめしてみる。

日経WOMANのバックナンバーを図書館で3冊くらい借りてきまして。

その中に「心を満たす10冊」として著名人がおすすめの本を紹介している記事がありました。

「ほー。この人読書家なんだなぁ」と思うと同時に、「本を10冊も紹介するのって結構大変なんじゃないか」とも思いました。

1冊ならよくある。2〜3冊までならなんとかなる。それ以上は未知の領域な気がしたため、自分でも本の紹介リストを作ってみることにしました。

 

テーマは「わたしの10冊」(つまりとくになし)。

それぞれにあらすじとコメントも書きます。

ちなみに順不同です。

 

 

1) 三浦しをん『風が強く吹いている』

○あらすじ

寛政大学4年の清瀬灰二は肌寒い三月、類まれな「走り」で夜道を駆け抜けてい
く蔵原走に出くわし、下宿の竹青荘に半ば強引に住まわせる。清瀬には「夢と野
望」があった。もう一度、走りたい、駅伝の最高峰、箱根駅伝に出て、自分の追
求する走りを見せたい。その「夢と野望」を「現実」にするにはあと一年しかな
い。そしていま強力な牽引者が彼の目の前に現れたのだ。竹青荘は特異な才能に
恵まれた男子学生の巣窟だった。清瀬は彼らを脅しすかし、奮い立たせ、「箱
根」に挑む。たった十人で。蔵原の屈折や過去、住人の身体能力と精神力の限界
など、壁と障害が立ちはだかるなか、果たして彼らは「あの山」の頂きにたどり
つけるのか。

○コメント

箱根駅伝に無名の大学が挑むと聞いて読んだ小説。高校時代、陸上部長距離のマネージャーをしていたので、駅伝という言葉には反応します。

私は選手じゃなかったから実際に駅伝を走ったことはないけれど、これは選手の考えや気持ちや葛藤やらが勢いよく染み込んでくる。走っているときに考えていることが本当らしくておかしい。普段は全く泣かない私が、駅伝を見るだけで涙しそうになってしまったのは、この本のせいだと思っています。

 

2) 山元大輔『男は匂いで選びなさい』

○あらすじ

「雌による雄の選択」が幅をきかせている生物の世界。彼らがパートナー選びに利用しているもの。それが「匂い」、すなわちフェロモンである。他の哺乳動物と比べて退化しているものの、私たち人間も、フェロモンへの感受性を失ってはいない。しかし、それが十分に活用されているとはいえないのである。ヒトの世界でもこの「匂い」の力を使うことが、最良の相手を選ぶ手段となりうるだろう。

○コメント

嗅覚は他の感覚と比べて脳の古い部分と繋がっているといいます。だから感情とも結びつきやすく、一瞬界だだけで過去の記憶がふいに蘇ることも。

好きな人からとてもいい匂いがしていて、ずっとその正体が気になっていました。それが元で読んだのですが、フェロモンを感知するというヤコブソン器官(鋤鼻器)の存在を知り、それ以降は「匂い」が興味ワード集に刻まれてしまいました…。

 

 

3) 有川浩図書館戦争』シリーズ

 

○あらすじ

正義の味方、図書館を駆ける!―公序良俗を乱し人権を侵害する表現を取り締まる法律として『メディア良化法』が成立・施行された現代。超法規的検閲に対抗するため、立てよ図書館!狩られる本を、明日を守れ。

○コメント

深夜にアニメをやっているのを知りつつも、そもそも「図書館」と冠しているのに、読んでいませんでした。読み始めたきっかけは何だったか忘れてしまったけれど、有川浩作品を読み漁るきっかけとなったシリーズ。

図書館の平和も守っているのにこんなに勉強しないといけないのか…と思いつつも、図書館の自由宣言などごちらが勉強になったことも。

キャラ読みとしてはベタ甘であてられることばかりだけど、この甘さが無性に欲しくなることもしばしば。

 

4) ジェームス W. ヤング『アイデアのつくり方』

○あらすじ

60分で読めるけれど一生あなたを離さない本。《アイデアをどうやって手に入れるか》という質問への解答がここにある。

○コメント

「アイディアを生み出すのは難しい」(ここではあえてィを入れる)「アイディアはただひらめくものではなく、気づきによって生まれるものなのです」。

大学時代に2年近くアイディアについて考えてきて、その過程で出会った本。担当教員の先生の研究室にも蔵書がありました。あの頃はもっと早くにたくさん本を読めば良かったなと思っています。でもこれをプロジェクトメンバー全員で回し読みしたことは、大きな意義があったのだとも思います。

 

5) 杉村圭『うた恋い。』

○あらすじ

はるかな昔から、歌い継がれ、愛されてきた百人一首藤原定家が選定した百の和歌には、現代の私たちも共感できる 普遍的な“人の思い”がみごとに詠みこまれている。 とりわけ、「恋」の和歌にこめられた思いは、驚くほど昔も今も変わらない。 紫式部、在原業平たちの恋歌がコミックと超訳に。31文字の和歌に込められた究極のラブ・ストーリー。

○コメント

マンガで唯一のノミネート。本屋で平積みされてて1巻が立ち読みできたので、勢いに任せて集中して読み切ってしまいました。百人一首自体は、よくある国語の時間に覚えたとかいう経験はないのですが、読んでいくうちに和歌の世界に引き込まれていきました。技法とか難しいことはわからないけれど、自由ではなかった時代に和歌の世界を生きた人々の生き様が深く表されていて、アニメもチェックするほどにはまってしまいました。

 

6) 地球の歩き方編集室『アイスランド 地球の鼓動が聞こえる』

○あらすじ

スケールの大きな自然が輝く極北の島へ。絶えることなく活動が続く火山地帯に生まれたばかりの黒々とした岩。ここにあるのは地球の大地が生まれた瞬間だ。人々の営みはいつも地球のエネルギーとともにある。人も自然もあたたかい国、アイスランドの魅力をたっぷりとご紹介。

○コメント

図書館で借りて読んではいたけれど、アイスランドに行く前に買えば良かったなとふたつの意味で後悔しています。 ひとつは日本語で書かれたガイドブックを1冊も持たずに初めての1人海外旅行に行ってしまってたいそう不安だったから。もうひとつはアイスランドが好きすぎて近くに置いておきたかったから。

おそらく後者の理由で、近いうちに入手すると思われます。

 

7)アレクサンドル・デュマ『三銃士』(竹村猛訳)

 ○あらすじ

時は17世紀、ルイ13世の治世。青年騎士ダルタニャンは希望に燃えて華の都パリにやってきた。都会のしきたりに慣れないダルタニャンは、三銃士から次々と決闘を申し込まれるが--。

○コメント

この原作ではなく人形活劇から入ったクチです。NHKで放送していた三谷幸喜脚色の「新・三銃士」。これもそれぞれのキャラクターがとても魅力的で、また一人の声優さんが何役も掛け持ちしていて驚かされることもありました。そこで原作に手を出してみると、人形活劇の三谷脚色がよくわかったのと、「三銃士」という話は「ダルタニャン物語」の第1部でしかないことも知りました。また始めから読みたくなってきました。

 

8) ジャック・フィニイ『ゲイルズバーグの春を愛す』「愛の手紙」(『不思議の扉』「机の中のラブレター」)

○あらすじ

現代の青年とヴィクトリア朝時代の乙女とのラヴ・ロマンスを繊細な筆致で綴った物語。甘く、切なく、ほろ苦い世界を描く。

○コメント

短編集の中に紛れ込んでいた一作。本として紹介するなら『ふしぎの扉』の方です。(ゲイルズバーグの方は未読です…)

私は基本的にハッピーエンドを好んで読んでいます。しかしこの作品は一概にハッピーエンドとは言えないでしょう。それがなぜここにノミネートされたかというと…。それだけ印象的だったのだと思います、良い意味で。ジャック・フィニイの他の作品も読んでみたいと思いました。

 

9) 杉浦さやか『スクラップ帖のつくりかた』

 ○あらすじ

まいにちがスクラップ日和! お気に入り、小さな発見、旅の思い出、お買い物日記、お散歩案内、シネマ・メモ…。すべてがつまった私だけのお楽しみノート。お絵かき時代から今日まで、杉浦さやかの原点を大公開。

○コメント

読んだのは高校1年くらいだったかと思います。この本をきっかけに、ライフログを残し始めたのでした。紙のチラシやパンフレットや割り箸の袋まで収集してファイルにコレクションしたり、旅の思い出を絵つきで日記に書いたり。紙媒体コレクションは初代から保管されていて5,6冊になるのですが、そろそろざばーっときれいにしたいと思ってます。こんなスクラップ帖に「うらやましい」と感じたんですかね。

 

10) 万城目学『偉大なるしゅららぼん』

 ○あらすじ

琵琶湖畔の街・石走に住み続ける日出家と棗家には、代々受け継がれてきた「力」があった。高校に入学した日出涼介、日出淡十郎、棗広海が偶然同じクラスになった時、力で力を洗う戦いの幕が上がった!

○コメント

「しゅららぼん」という単語の響きが気に入りました。琵琶湖は見たことがないけれど、海を見たことがない人が海だと思ってたのだから、相当大きいのだろうなとは思います。しかしそこからこの世界が生まれるとは…。さすが万城目氏。こういった非日常が当たり前に日常に溶け込んでいる、例えば電柱と壁の隙間を通ったら少し世界がずれているような、そんな物語が好きです。

 

 

 

以上10冊、無事お送りしました。案ずるより産むがやすし、なんですね。

今年中に何とか!!!と発起して、途中まで書いていたものに追記して削除して追記してできあがりました。しかしまだもう1本書きさしが…。でも今年の振り返りも書かなきゃ…。

というわけで紅白を見ながらあと2本を書くことにいたします。よいお年を。