餅屋記

サブタイトルは『.lib』

カレンダーの下にあるコラム

学校図書館の方で、毎月図書館の開館カレンダーを作っているのですが、その余ったスペースにコラムを書いています。*1

テーマは季節に関係するものか、図書館に関係するものを。*2

以下は既載4ヶ月分です。

 

9月『著作権・肖像権』

 図書館の資料は、著作権法第31条によりある条件の下でコピーが認められていますが、コピーをするのはあくまでも「図書館」です(そもそも学校の図書館はこの範囲外です)。したがって携帯電話のカメラなどで撮影することは、著作権法違反となります。
肖像権には2種類あり、ひとつは「他人の写真で勝手にお金を儲けてはいけない」ということ、もうひとつは「無断で写真を撮られたり、写真を許可なく人の目にさらされて嫌な思いをさせてはならない」ということです。
インターネットは便利ではありますが、使い方に注意しなければなりません。仲間内だけだと思っていても、実際は全世界に筒抜けです。自分の働いている施設に有名人が来たことをネット上で公開し、問題となった事件がありましたが、公開した当人に足りないものは想像力でしょう。法律や規則は守らなければなりませんが、個人個人で「これをしたらどうなるか」考え行動することが大切です。

(396文字)

 

11月『どうして「読書の秋」というの?』

スポーツの秋、芸術の秋、食欲の秋、…秋には掛かる言葉がいくつもありますが、図書館といえは「読書の秋」でしょう。よく聞く言葉ではありますが、その由来を知っていますか?気温や時間などさまざまな理由が思い浮かびますが、実はある唐詩から来ています。
その唐詩とは、中国を代表する文人である韓愈の『符読書城南』の一部「時秋積雨霽、新涼入郊墟。燈火稍可親、簡編可卷舒。」です。涼しく夜長の
秋は、燈火の似合う季節=書物を読むのに適した季節である、というのです。ちなみに俳句では「燈火親しむ」は秋の季語となっています。
もうすぐ冬になってしまいますが、残りわずかな秋の夜長を利用して、本の世界を楽しんでみてはいかがでしょうか。
参考資料
『図説 俳句大歳時記 秋』角川書店,1973,p201「燈火親しむ」
『カラー図説 日本大歳時記 秋』講談社,1981,p105「秋の燈」「燈火親しむ」

(366文字)

 

12月『図書館とITの関係』

 図書館とIT。一見正反対のようにも思えますが、実際は深くつながっています。
まず図書館の中にはパソコンがあります。用途は様々あり、調べものだけでなく、貸出や検索などの蔵書管理にも使われます。大きな図書館では、Suicaにも入っているICタグを本に付与して、持ち出し防止装置や効率的な貸出返却処理に利用しているところもあります。つまり図書館の利用や業務にITが組み込まれているのです。
また最近では図書館でも電子書籍を貸出しています。インターネット上で借りられ、紙の本と同じように返却期限もあります。大学の図書館では電子ジャーナルというデジタルデータの雑誌や、機関リポジトリという論文を集めて公開するシステムもあります。
そして図書館とITに根底で共通しているのが、「情報を扱う」ということです。検索エンジンサイトを運営するGoogle社は「人類が使うすべての情報を集め整理する」という理念のもと設立されました。ユネスコ公共図書館宣言では公共図書館は「地域の情報センターである」としています。21世紀の図書館は、本を借りるだけ、ではないのです。

(454文字)

 

1月『どうして一年は「0月」から始まらないの?』

もういくつ寝るとお正月。今年も暮れ、ということは12月も終わり、また1月がやってきます。
現代では西暦が主流ですが、日本では以前、旧暦と呼ばれる暦が使われていました。1月を「睦月」と呼んでいたと古文の授業などで聞いたことがあるはずです。では他の国の言葉では1月はどう呼ばれるのでしょうか。
一番馴染みがある英語では「January」。これはラテン語で入り口を司る神を示す「Jānus」(ヤーヌス)が語源となっていて、フランス語の「janvier」、スペイン語の「enero」などもこれが語源だと言われています。ちなみにイスラム諸国で用いられているヒジュラ暦では「مُحَرَّم」(ムハッラム)ですが、1年が354日の太陰暦なので1月が冬にあたるとは限りません。
ここでタイトルに戻って考えてみると、西暦0年や0時0分はあるのに、なぜ0月がないのでしょうか。日本に限れば、昭和や平成の始まりが「1年(元年)」であることや、生まれた年を1歳から数える「数え年」の習わしが関係しているのではないでしょうか。では世界では…? 残念ながらここにはすべて書き切れないので、図書館にある本をヒントに考えてみてください。
参考資料
中牧弘允「カレンダーから世界を見る」白水社,2008.7,172p

(498文字)

 

*1:コラムを書き入れ始めたのは9月からで、10月は9月と同じものを載せ、2,3月分は作成中です

*2:レファレンス協同データベース http://crd.ndl.go.jp/jp/public/ にお世話になったり、大石勝男編『高等学校ホームルーム担任実務事典』暁教育出版,1984.6 を参考にしています