餅屋記

サブタイトルは『.lib』

本を10冊おすすめしてみる。

日経WOMANのバックナンバーを図書館で3冊くらい借りてきまして。

その中に「心を満たす10冊」として著名人がおすすめの本を紹介している記事がありました。

「ほー。この人読書家なんだなぁ」と思うと同時に、「本を10冊も紹介するのって結構大変なんじゃないか」とも思いました。

1冊ならよくある。2〜3冊までならなんとかなる。それ以上は未知の領域な気がしたため、自分でも本の紹介リストを作ってみることにしました。

 

テーマは「わたしの10冊」(つまりとくになし)。

それぞれにあらすじとコメントも書きます。

ちなみに順不同です。

 

 

1) 三浦しをん『風が強く吹いている』

○あらすじ

寛政大学4年の清瀬灰二は肌寒い三月、類まれな「走り」で夜道を駆け抜けてい
く蔵原走に出くわし、下宿の竹青荘に半ば強引に住まわせる。清瀬には「夢と野
望」があった。もう一度、走りたい、駅伝の最高峰、箱根駅伝に出て、自分の追
求する走りを見せたい。その「夢と野望」を「現実」にするにはあと一年しかな
い。そしていま強力な牽引者が彼の目の前に現れたのだ。竹青荘は特異な才能に
恵まれた男子学生の巣窟だった。清瀬は彼らを脅しすかし、奮い立たせ、「箱
根」に挑む。たった十人で。蔵原の屈折や過去、住人の身体能力と精神力の限界
など、壁と障害が立ちはだかるなか、果たして彼らは「あの山」の頂きにたどり
つけるのか。

○コメント

箱根駅伝に無名の大学が挑むと聞いて読んだ小説。高校時代、陸上部長距離のマネージャーをしていたので、駅伝という言葉には反応します。

私は選手じゃなかったから実際に駅伝を走ったことはないけれど、これは選手の考えや気持ちや葛藤やらが勢いよく染み込んでくる。走っているときに考えていることが本当らしくておかしい。普段は全く泣かない私が、駅伝を見るだけで涙しそうになってしまったのは、この本のせいだと思っています。

 

2) 山元大輔『男は匂いで選びなさい』

○あらすじ

「雌による雄の選択」が幅をきかせている生物の世界。彼らがパートナー選びに利用しているもの。それが「匂い」、すなわちフェロモンである。他の哺乳動物と比べて退化しているものの、私たち人間も、フェロモンへの感受性を失ってはいない。しかし、それが十分に活用されているとはいえないのである。ヒトの世界でもこの「匂い」の力を使うことが、最良の相手を選ぶ手段となりうるだろう。

○コメント

嗅覚は他の感覚と比べて脳の古い部分と繋がっているといいます。だから感情とも結びつきやすく、一瞬界だだけで過去の記憶がふいに蘇ることも。

好きな人からとてもいい匂いがしていて、ずっとその正体が気になっていました。それが元で読んだのですが、フェロモンを感知するというヤコブソン器官(鋤鼻器)の存在を知り、それ以降は「匂い」が興味ワード集に刻まれてしまいました…。

 

 

3) 有川浩図書館戦争』シリーズ

 

○あらすじ

正義の味方、図書館を駆ける!―公序良俗を乱し人権を侵害する表現を取り締まる法律として『メディア良化法』が成立・施行された現代。超法規的検閲に対抗するため、立てよ図書館!狩られる本を、明日を守れ。

○コメント

深夜にアニメをやっているのを知りつつも、そもそも「図書館」と冠しているのに、読んでいませんでした。読み始めたきっかけは何だったか忘れてしまったけれど、有川浩作品を読み漁るきっかけとなったシリーズ。

図書館の平和も守っているのにこんなに勉強しないといけないのか…と思いつつも、図書館の自由宣言などごちらが勉強になったことも。

キャラ読みとしてはベタ甘であてられることばかりだけど、この甘さが無性に欲しくなることもしばしば。

 

4) ジェームス W. ヤング『アイデアのつくり方』

○あらすじ

60分で読めるけれど一生あなたを離さない本。《アイデアをどうやって手に入れるか》という質問への解答がここにある。

○コメント

「アイディアを生み出すのは難しい」(ここではあえてィを入れる)「アイディアはただひらめくものではなく、気づきによって生まれるものなのです」。

大学時代に2年近くアイディアについて考えてきて、その過程で出会った本。担当教員の先生の研究室にも蔵書がありました。あの頃はもっと早くにたくさん本を読めば良かったなと思っています。でもこれをプロジェクトメンバー全員で回し読みしたことは、大きな意義があったのだとも思います。

 

5) 杉村圭『うた恋い。』

○あらすじ

はるかな昔から、歌い継がれ、愛されてきた百人一首藤原定家が選定した百の和歌には、現代の私たちも共感できる 普遍的な“人の思い”がみごとに詠みこまれている。 とりわけ、「恋」の和歌にこめられた思いは、驚くほど昔も今も変わらない。 紫式部、在原業平たちの恋歌がコミックと超訳に。31文字の和歌に込められた究極のラブ・ストーリー。

○コメント

マンガで唯一のノミネート。本屋で平積みされてて1巻が立ち読みできたので、勢いに任せて集中して読み切ってしまいました。百人一首自体は、よくある国語の時間に覚えたとかいう経験はないのですが、読んでいくうちに和歌の世界に引き込まれていきました。技法とか難しいことはわからないけれど、自由ではなかった時代に和歌の世界を生きた人々の生き様が深く表されていて、アニメもチェックするほどにはまってしまいました。

 

6) 地球の歩き方編集室『アイスランド 地球の鼓動が聞こえる』

○あらすじ

スケールの大きな自然が輝く極北の島へ。絶えることなく活動が続く火山地帯に生まれたばかりの黒々とした岩。ここにあるのは地球の大地が生まれた瞬間だ。人々の営みはいつも地球のエネルギーとともにある。人も自然もあたたかい国、アイスランドの魅力をたっぷりとご紹介。

○コメント

図書館で借りて読んではいたけれど、アイスランドに行く前に買えば良かったなとふたつの意味で後悔しています。 ひとつは日本語で書かれたガイドブックを1冊も持たずに初めての1人海外旅行に行ってしまってたいそう不安だったから。もうひとつはアイスランドが好きすぎて近くに置いておきたかったから。

おそらく後者の理由で、近いうちに入手すると思われます。

 

7)アレクサンドル・デュマ『三銃士』(竹村猛訳)

 ○あらすじ

時は17世紀、ルイ13世の治世。青年騎士ダルタニャンは希望に燃えて華の都パリにやってきた。都会のしきたりに慣れないダルタニャンは、三銃士から次々と決闘を申し込まれるが--。

○コメント

この原作ではなく人形活劇から入ったクチです。NHKで放送していた三谷幸喜脚色の「新・三銃士」。これもそれぞれのキャラクターがとても魅力的で、また一人の声優さんが何役も掛け持ちしていて驚かされることもありました。そこで原作に手を出してみると、人形活劇の三谷脚色がよくわかったのと、「三銃士」という話は「ダルタニャン物語」の第1部でしかないことも知りました。また始めから読みたくなってきました。

 

8) ジャック・フィニイ『ゲイルズバーグの春を愛す』「愛の手紙」(『不思議の扉』「机の中のラブレター」)

○あらすじ

現代の青年とヴィクトリア朝時代の乙女とのラヴ・ロマンスを繊細な筆致で綴った物語。甘く、切なく、ほろ苦い世界を描く。

○コメント

短編集の中に紛れ込んでいた一作。本として紹介するなら『ふしぎの扉』の方です。(ゲイルズバーグの方は未読です…)

私は基本的にハッピーエンドを好んで読んでいます。しかしこの作品は一概にハッピーエンドとは言えないでしょう。それがなぜここにノミネートされたかというと…。それだけ印象的だったのだと思います、良い意味で。ジャック・フィニイの他の作品も読んでみたいと思いました。

 

9) 杉浦さやか『スクラップ帖のつくりかた』

 ○あらすじ

まいにちがスクラップ日和! お気に入り、小さな発見、旅の思い出、お買い物日記、お散歩案内、シネマ・メモ…。すべてがつまった私だけのお楽しみノート。お絵かき時代から今日まで、杉浦さやかの原点を大公開。

○コメント

読んだのは高校1年くらいだったかと思います。この本をきっかけに、ライフログを残し始めたのでした。紙のチラシやパンフレットや割り箸の袋まで収集してファイルにコレクションしたり、旅の思い出を絵つきで日記に書いたり。紙媒体コレクションは初代から保管されていて5,6冊になるのですが、そろそろざばーっときれいにしたいと思ってます。こんなスクラップ帖に「うらやましい」と感じたんですかね。

 

10) 万城目学『偉大なるしゅららぼん』

 ○あらすじ

琵琶湖畔の街・石走に住み続ける日出家と棗家には、代々受け継がれてきた「力」があった。高校に入学した日出涼介、日出淡十郎、棗広海が偶然同じクラスになった時、力で力を洗う戦いの幕が上がった!

○コメント

「しゅららぼん」という単語の響きが気に入りました。琵琶湖は見たことがないけれど、海を見たことがない人が海だと思ってたのだから、相当大きいのだろうなとは思います。しかしそこからこの世界が生まれるとは…。さすが万城目氏。こういった非日常が当たり前に日常に溶け込んでいる、例えば電柱と壁の隙間を通ったら少し世界がずれているような、そんな物語が好きです。

 

 

 

以上10冊、無事お送りしました。案ずるより産むがやすし、なんですね。

今年中に何とか!!!と発起して、途中まで書いていたものに追記して削除して追記してできあがりました。しかしまだもう1本書きさしが…。でも今年の振り返りも書かなきゃ…。

というわけで紅白を見ながらあと2本を書くことにいたします。よいお年を。